映画館前で足を止める



10/14情報解禁。
早稲田松竹映画館前をお借りしてパフォーマンスをさせてもらえることになった。
先日の結婚式二次会に続き、映画館でのパフォーマンスという夢が叶うことになる。
しかし、続かなければ意味はない。
この夢が、国内の各地の映画祭、そして海外の映画祭へと続いていけたらと欲は尽きない。


実は、東京に来るまで、映画はあまり見なかった。
東京に来て、映画館が近くにある状況になり、なにかピンと来た映画に出会えば、映画館に足を運ぶくらいになった。
しかし受け身なのは変わらなかった。
シネマイムを始めたときもその趣向は変わらずで、ジブリやバック・トゥ・ザ・フューチャー、ジャッキー・チェン監督作品、是枝裕和監督作品、ジュゼッペ・トルナトーレ監督作品と、ミーハーだし、偏っていたと思う。
今もその傾向はあるけど、シネマイムを作る度に映画を必ず一本見る。シリーズものなら前後を把握するために数本見ることになる。するとその俳優や監督に興味をもつ。
そのうちに、なにか疲れたとき、空いている映画館に行って、ビールを片手にぼーっと見る楽しみも知ってしまった。
以前、大きな台風で電車が止まったときなんかは、喜々として、電車が動くまでと連続で映画を見た。


こうしてハマるタイミングというのが人にはあると思う。
それだけの魅力が映画館にはある。
それまで興味が薄くても、なにかのキッカケで足を運ぶようになり、人生の楽しみとして映画が使われる日が来るかもしれない。
そんな人を映画館は気長に待っている。
そのキッカケが「テンナインがシネマイムをガヤガヤやっているのに足を止めて」だったらどんなに嬉しいことかと、想像が膨らんでしまう。


今、「映画は好き?」と聞かれたら「好き」と答える。
語るほど詳しくもないし、俳優の顔を覚えるのも苦手だけど、好きは好きだ。

映画好きの一人として、映画館前で映画にまつわるパフォーマンスをできる。
幸せなことだ。とても。
長く続けられるように、努めようと思う。

次の日曜、いよいよ初パフォーマンス。

カラカラ

もうすぐ本番まで一ヶ月を切る。
これから照明や音響も含めた演出が必要になってくる。
キャストと違ってスタッフは稽古場に毎回いるわけではない。
限られた日にやってきて、ごく限られた打ち合わせで作り上げなければならない。それが、人を雇い仕事を依頼するということで。
しかし、作品づくりも、稽古の練度も、まだまだ五里霧中なわけで。

「間に合わないかもしれない」

という不安がいよいよ現実味を帯びてくる。

やっと確保した時間を使って机に向かっても閃きはやってこず、
酒を飲んでも気分は晴れず、
日課で気分転換に最適なトレーニングも満足に出来ず。

何をしていても作品にも演出にも自信が持てなくなってくる。
振り返ることが多くなり、時間を取られ、ますます進めなくなる。
ひどい悪循環だ。

一度、まっさらにしたい衝動に駆られる。

作ったときに感じていた面白みはどこへ行ったのか・・・


忘れることは素晴らしいことだと思う。
人を、故郷を、失敗を、成功を。
固執して身動きがとれなくなるよりははるかにいい。
ただそれは、動いていればこそ。
止まってしまったとき、忘れ続けていると、いずれ何もなくなってしまう。
供給を断たれ、すがる過去も経験もない。
ただ、生きるに必要な行動を繰り返す。
それが悪だとは思わない。
でも、自分は嫌だ。

減り続ける時間、その貴重な時間を確保し使っても解決しない。
必要なのはなんなのか。気分転換も試行錯誤もしてきた。
でも、考え続けることでしか閃きは訪れないのも知っている。
たぶん、今は苦しい時というだけなんだろう。

何も生めなくても、頭を使い続けるしかない。
今日も机に向かう。